終戦の日。この日は毎年祖父の事を思い出す。
 十年位前に亡くなった父方の祖父は戦時中ビルマ方面に従軍し、インパール作戦に参加したらしい。
 祖父は常々戦争は良くない事であると言っていたが、自分が青春時代を過ごした軍隊については誇らしく思っていたのか、部屋の壁には額に入った勲八等の勲章と伍長任命の書状が飾ってあった。
 祖父が存命だった当時はあまり戦史の類の知識がなかったので、突っ込んだ話を聞けなかったのがつくづく残念だ。
 それでも、ガンダムビームライフルからの想像でライフル=鉄砲だと思っていた小学生の俺にライフル=旋条の刻まれた銃身を持つ銃である事を説明し、なぜライフルが有用なのかを得々と解説してくれたり、最前線勤務で昇進が延び延びになってしまい、やっと伍長になれたと思ったら即終戦で、その後「下士官以上は戦犯になる」という噂に戦々恐々とした話をしてくれたりと、妙なエピソードを語ってくれた事を覚えている。
 インパール作戦は恐ろしく過酷な作戦だったそうだから、その体験を子供に話すのは控えていたんだろうなあ。