終戦の日って事で従軍した父方の爺ちゃんの思い出話でも。
 以下に述べる事は当時ガンダム大好き馬鹿チン小学生だった俺が半分以上よく理解しないまま聞いてた爺ちゃんの体験談+爺ちゃん没後に親父や伯父貴が断片的に語ってた事をミックスした内容です。
 当事者はすでに亡くなってるし、話を聞いた人間も大抵あやふやにしか覚えてなかったりするため、おそらく軍事マニアの方から見れば突っ込まれそうな内容だと思われます。
 ご了承ください。


 大工だった爺ちゃんは徴兵されて中国へ送られたらしい。その後、いわゆるインパール作戦に参加してビルマ戦線で戦ったらしい。今回はこの辺のお話。
 大正五年生まれの爺ちゃんは兵卒としては年長であったらしく、組み立て式の砲を運用する班の班長を任されたらしい。
 兵長の爺ちゃん以下五名の班で分解した砲をロバに引かせて運び、それで戦車と戦ったとか。
 なんと爺ちゃんはこの砲を用いてM4シャーマン戦車やM3スチュアート軽戦車を撃破したらしい。
 戦車のキャタピラは踏破性に優れているため、大抵の戦車は対人用の落とし穴くらいは無視して突っ込んでくるそうな。
 爺ちゃんの班はキャタピラが乗り越えれるかギリギリの段差を掘り、さらに上り口に倒木を渡して引っかかるような仕掛けを作りそこに戦車を誘導した。
 そうすると、二段構えの段差のお陰で戦車と言えども引っかかって短い間だが動きが止まる。ここに間髪いれずに砲を叩き込み、撃破したという。
 馬鹿ガキであった当時の俺にとって、爺ちゃんの戦術はなんだか地味に感じられたものだが、今となっては爺ちゃんのとんでもなさを理解できる。
 爺ちゃん達の砲は一度据えつけてしまうと機動力なんてなくなってしまう。それを予め狙いを定めておき、トラップに我が身を囮に戦車をおびき寄せて倒すというのだから、正直ゾッとする。
 俺の親父は戦後生まれなので、爺ちゃんがこの無茶な戦術で死んでたら当然俺生まれてないんだよなー……。
 なんでもM3は割りと簡単に火を吹いたらしいけど、シャーマンは当たり所が悪いとなかなか壊れなかったらしい。爺ちゃんの使ってた砲はチハ辺りと同じ37ミリくらいの口径だったんじゃないかと想像する。
 話を聞いた当時は、爺ちゃんは陸戦の主役である戦車に乗った事がないと聞いてがっかりしたものだけど、日本の誇る我らがチハたんに乗ってたりしたらさっくりと死んでるような気もするのでそれはそれで。